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プロローグ1『レオーヌ誕生』・・・①衛星L1

 【20//2011】

パトロール

無限に広がる大宇宙・・・(?)


「そういえばこのあたりか・・・獅子座L77星があったのは・・・・」

パトロール中だった光の巨人はふと、侵略者の手によって滅ぼされ、消滅してしまったある惑星の事を思い出していた。


その巨人はM78星雲の「光の国」と呼ばれる星の出身で、現在は星雲の中にあるM80星という小さな星の王に君臨している。

しかし王といっても、「光の国」の巨人達によって組織された銀河連邦警備隊の一員に過ぎず、同じ王でも「光の国」の王と比べれば「大統領」と「知事」、いや「○○グループ代表」と「営業所長」位の差があった。

M80星は元々、警備隊の研修センター、極秘会議場、刑務所等、「光の国」の施設を設ける為の星であったが、施設の管理者や長い刑期を終えて出所した者等、高齢の為に「光の国」に戻れなくなった星雲人達が住み着くようになり、国家として統制が求められるようになったところ、警備隊の一員であるその巨人が志願してその星に移り住み、王の座に就いたのだ。

それゆえ王とは名ばかりで、「光の国」ではむしろ銀河警備隊の隊長や教官達の方が位が上と位置づけられている。

しかし優れた人格者であるその巨人は、そんな扱いを「不当」と感じた事は一度もなく、王でありながらパトロールを行うのは警備隊の一員として「当然」の事であり、誇りを持って遂行すべき任務だと感じていた。



衛星L1


「あれは・・・・衛星L1・・・」

光の巨人は、視界に捕らえた小さな星の事が気になっていた。

「衛星L1」は消滅したL77星の衛星にあたる星で、警備隊に入隊する前は研究者だった彼は、以前からその存在を知っていた。


「どういうことだ?・・・かすかだが、L1から生命反応が・・・」

「衛星L1」には生命体は存在していないはずである。

それどころか、この界隈で唯一生命体が存在していた星が、消滅したL77星であった。

それだけに、数ある星の中で唯一、微量ながら生命反応を発している「衛星L1」の存在が、彼には気になった。


「まさか・・・生き残ったL77星人があそこに・・・」

光の巨人は急いで「衛星L1」に向かった。



Category: ①『レオーヌ誕生』

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プロローグ1『レオーヌ誕生』・・・②王妃イライザ

 【21//2011】

地殻変動

「このあたりのはずだが・・・・」

衛星L1の上空を飛び回りながら、光の巨人は先程感じた生命反応の主を探していた。

衛星L1は獅子座L77星の消滅により、その重力によって保たれていた衛星内部の核のエネルギーバランスが崩れ始めていて、その異常は既に地殻にまで及んでいた。

今や衛星L1はかろうじてその姿をとどめている状態で、消滅はもはや時間の問題であった。

「急がなければ・・・」

助かる可能性があるのならば、何としてもその命救いたい・・・・

そう願いながら辺りを見回していたその時、

「?!」

イライザ

光の巨人の目に入ったのは、L77星人らしき姿の生命体だった。

「あれは・・・・」

先ほど感じた生命反応の主に違いないが、全く動く気配が見られない。

光の巨人はその生死を確かめるべく、その生命体の元に降り立った。

ショック


そこに横たわっていたのはL77星人の若く可憐な娘であった。

「もしや・・・王女イライザ・・・」

光の巨人はその娘がL77星王女イライザだという事に気付いた。


L77星の王族の娘として生まれたイライザは、その可憐な出で立ちと優しい性格から多くのL77星人に慕われていて、その聡明な美少女王女の噂はL77星以外の多くの星にも広まっていた。

しかしL77星が凶悪な侵略者の手に落ち、王族はおろかほとんどの星人達は侵略者とその手先の凶暴な双子怪獣の手で滅ぼされてしまった中、王女イライザだけはその美しさが仇となり、生きたまま囚われの身となって侵略者と双子怪獣の「慰み者」として扱われる日々を送る事となる。

やがてL77星は侵略者達の攻撃の影響で地殻変動が起こり、侵略者はL77星を領土にする事を諦めて退却。

慰み者としての過酷な日々を送った事で、もはや「生きる屍」と化した王女イライザはそのままL77星に取り残され、L77星の大爆発によって空間に放り出されたままさまよった後、衛星L1に不時着した。

そしてそのまま今日まで誰に助けられる事もなく、その命を絶たれてしまったのだ。

もはや・・・

「何て事だ・・・」

光の巨人はテレパシーの力で、王女イライザの壮絶なその生涯を感じ取っていた。

しかし目の前に横たわるイライザは、その生命の証である両目と胸部のクリスタルの輝きが失われたままの状態であった。

光の国の一族ならば、一旦命を失っても、ある程度の時間内に対応すれば蘇生する事は十分可能であるが、L77星人のイライザはそれだけの蘇生能力を持ち合わせてはいないはずである。

しかもL77星の消滅からは相当の時間が経過しているので、例え光の国の一族であったとしても、蘇生できる可能性はほとんどないに等しかった。

そんな状態でありながら、生命反応を感じさせただけでなく、故郷を滅ぼされた無念と自身の悲しい身上を、光の巨人にテレパシーで伝えたイライザ。

きっとそれは、誇り高きL77星王族の気高い血を引く者だからこそ、成せた奇跡に違いなかった。

Category: ①『レオーヌ誕生』

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プロローグ1『レオーヌ誕生』・・・③奇跡を信じて

 【22//2011】

ショック

「哀れな王女イライザ・・・種族の違うワタシには、どうする事もできないのか・・・」

光の巨人はイライザの亡骸を前に、自分の無力さを嘆いていた。

人間でいう「輸血」と同じで、自分と同じM78星雲人であれば、その自らのエネルギーを分け与える事によって、蘇生を試みる事は可能である。

しかしイライザは獅子座L77星人という自分とは違う種族である為、その方法は通用しないであろう。

「あるいは・・・同じ獅子座L77星人の者ならば・・・」

光の巨人がかつて研究者だった頃、ある研究の為に太陽系のとある惑星を訪れていた。

その時に聞いた話によると、自分がその星を訪れる少し前に、滅亡したと思われたL77星人の生き残りと思しき巨人が、同じその星に滞在していたのだという。

そのL77星人と思しき巨人は双子の兄弟で、自分が訪れた時には、その兄弟は既にその星を後にしていた。

その双子の兄弟なら、あるいはイライザを蘇生する事が可能かもしれない。

しかし今ではその兄弟がどの星にいるのかという事さえも分らないし、彼等が本当にL77星人だという確証さえもなかった。

「こんな時、銀十字軍の隊長がいてくれたら・・・・」

「光の国」には「銀十字軍」をいう、全宇宙をまたにかけて活動を展開する医療法人が存在していた。

その「銀十字軍」の隊長を勤める女性は、自身の持つ奇跡のパワーで戦死した多くの光の戦士達を蘇らせた実績を持ち、光の国の住人達から「母」と呼ばれ、崇められている存在だった。

彼女の力を持ってすれば、種族の壁を越えてイライザを蘇らせる事が出来るかもしれない。

あるいは医療に従事した「母」でなくとも、同じような奇跡のパワーを持つといわれている光の国の“国王”や銀河連邦警備隊の“大隊長”ならば、奇跡を起こせる可能性もあるだろう。

「しかし、もう時間がない・・・・」

イライザが死後間もない状態であれば、光の国のサインを出して母や彼等を呼び寄せ、蘇生行為を行う事も可能であった。

例え彼等が来れなかったとしても、自分がイライザの亡骸を光の国に送り届けて、それから蘇生行為を行っても十分に助かる可能性があるだろう。

しかしイライザは既に死後相当の長い時間を経過している以上、とてもそんな時間を待つ余裕はないし、生命反応を失くした状態でずっと放置されていたイライザの亡骸を宇宙空間に晒してしまえば、たちまちの内にその実態を失くしてしまうだろう。

「私の力など、到底彼等に及ぶものではない・・・しかし・・・」

光の巨人は、イライザのその姿に僅かながらの可能性を感じていた。

まだうら若き少女の頃に、あまりに過酷な試練を突きつけられてその命を終える事となったイライザ。

それから相当の年月を経ているにも関わらず、イライザの亡骸は神々しいまでの美しい姿を保っており、その上自分のテレパシーにまで応じるなど、とても命無き者とは思えない反応を見せるイライザの秘めたる力は、光の国でもなかなか例を見ないものであった。

「イライザよ・・・私は君が持つ、奇跡の力に賭ける・・・」

光の巨人はそうつぶやくと、イライザの傍らで片膝をつき、自分の胸部のクリスタルからイライザの胸部のクリスタルに向けて、エネルギーの照射を開始した。

エネルギー照射

それは光の国の一族に代々伝わる蘇生術であった。

簡単にいえばガス欠になった車にガソリンを入れるような事なのだが、生命体同士でその行動を行う事は、とてつもないリスクを背負う事でもあった。

必ずしもそれで助かるという保証はないし、いくらそれで相手を助けられたとしても、その代わりに大量のエネルギーを消耗する事で、今度は自分の身に危険が及ぶ事になる。

その為、光の巨人達がこの蘇生術を行う場合には、光の国の中にあるプラズマ・タワーを訪れて、あらかじめそこで蘇生用のエネルギーを補充する必要があった。

中には国王や大隊長、銀十字軍の母のように、自ら蘇生用のエネルギーを発生させる力を持つ者もいるが、それは光の国の歴史上でも本当に限られたごくわずかの者にしか備わっていない、特別な力であった。

当然今イライザに蘇生術を試みている光の巨人には、そんな特別な力が備わっているわけもなく、自らの身に危険が及ぶ事を承知で、イライザに自分のエネルギーを与え続けていた。

「ダメだ・・・反応がない・・・」

光の巨人が相当量のエネルギーを照射したにも関わらず、イライザには何の反応も見られなかった。

この蘇生術は、違う種族を相手に行った時や、あるいはエネルギーは満たされているものの、他の原因で活動を余儀なく停止されている相手に行った場合には、いわゆる「拒否反応」が起こり、照射したエネルギーが吸収されずに弾き返されてしまう事がある。

しかし、違う種族同士の間に起こる拒否反応は見られず、彼のエネルギーは間違いなくイライザの体内に吸収されているはずである。

「もはや手遅れなのか・・・・」

普通であれば、光の巨人が照射した量のエネルギーがあれば、完全復活には程遠いものの、かすかな再鼓動や眼光の再点灯等、何らかの蘇生反応が見られるはずである。

やはり異種族ゆえにエネルギーが十分な効力を発揮できないのか、それともイライザの肉体の蘇生能力がもはや失われてしまっているのか?

光の巨人は蘇生術に備えたエネルギー補給を行っていなかった為に、自らの活動に必要なエネルギーをイライザの蘇生に費やしていた。

もしこれ以上のエネルギー照射を行えば、宇宙空間の巡航に最低限必要なエネルギーも失われ、光の国に戻る事が出来なくなる可能性もある。

「でも私は・・・異星人とはいえ、このような可憐な娘が輝きを取り戻さぬまま朽ち果てていくのを、黙って見過ごす事は出来ない・・・」

意を決した光の巨人はその場で立ち上がると、腹部のバックル・クリスタルから、さらなるエネルギー照射を開始した。

さらに照射

それは彼にとって、いわゆるリザーブ・タンクに相当するモノであった。

活動における重大なアクシデントが起こった時や、通常の攻撃では通用しない強敵を相手に戦う場合などの非常事態に備えた、他の光の巨人も持ち合わせていない彼独自の能力である。

しかしそれは、他の光の巨人よりも優れた特別な力という訳ではなく、むしろ他の巨人達よりも劣っていた部分を補ったモノに過ぎなかった。

「例え光の国に帰れなくなったとしても、生きてさえいればきっと道は開けるはずだ・・・」

光の巨人は悲壮な決意を胸に秘め、バックルからのエネルギー照射を続けていた。

彼が照射したエネルギー量はもはや許容範囲を超えていて、光の国に帰れないどころか、自らの活動にも支障を来たし始めていた。

「イライザよ・・・・目を、覚ましてくれ・・・・」

次第に巨人の目の光が弱まり始め、その立ち尽くす足元も震え始めている。

もはや自分の生命にさえ、危険が及んでいる事も明らかなのだが、それでもエネルギー照射をやめようとはしなかった。

しかしそんな彼の願いも虚しく、イライザに蘇生する兆しは全く現れなかった。

やがてバックルから発せられていたエネルギーの照射光は費えてしまい、光の巨人はその場に崩れるように、がっくりとヒザをついた。

「やはり、ワタシのような、凡庸な戦士には・・・奇跡を起こす・・・力は・・・なかったか・・・」

途切れ途切れに胸の内の無念の気持ちを吐露する巨人の目の光は、今まさに費えようとしていた。

「すまない・・・イライザ・・・そして・・・許してくれ・・・ジュ・・・」

光の巨人は最後に、M80星で自分の帰りを待っている王妃の名を口にしようとしていた。

Category: ①『レオーヌ誕生』

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プロローグ1『レオーヌ誕生』・・・④新たな生命

 【23//2011】

「すまない・・・イライザ・・・そして・・・許してくれ・・・ジュ・・・」

今まさに最期の時を迎えようとしている光の巨人が、自分の帰りを待っているであろう王妃の名を口にしようと瞬間、それまで何の反応も見せなかったイライザの身体に異変が起こった。

「・・・・・!!」

誕生

突如イライザの胸部のクリスタル部分から白光が放たれ、その白光はひざまづいた光の巨人の頭上辺りにまで浮かび上がると、辺り一面を照らすほどの眩い光を放ち始めた。

「こっ、これは・・・・」

その白光はまるで、王家の血筋であるイライザの魂が乗り移ったかのように神々しく光り輝き、それを見ているうちに光を失いかけていた巨人の目も再び光を点し始めていた。

そして光の巨人はその不思議な白光の中に、ある生命体が存在している事に気付く。

「ま、まさか・・・」

白光の中に宿っていたのは、獅子座L77星人の姿をした小さな女の子であった。

光の巨人はその女の子の姿を見て、希望を失いかけていた自分が救われたような気持ちになっていた。


「獅子座の(LEO)・・・新たな命(ONE)・・・レオーヌ(Leoone)・・・」


光の巨人は、かつて自分が訪れた星の言葉を使って、その女の子をレオーヌと呼んだ。

すると、レオーヌが放つ光を浴び続けていたイライザにも、ある変化が起こっていた。

再点灯

それまで消えたままだったイライザの胸部のクリスタルが、いつの間にか緑色に発光している。

光の巨人がその事に気づくと、今度はイライザの両目に光が宿り始めていた。

目の光

「ここ・・・は・・・どこ・・・」

目の光を取り戻したイライザは、小さな声でポツリとそうつぶやいた。

レオーヌの誕生に続き、再び奇跡が訪れた瞬間であった。

「イライザ!?」

イライザの声に驚いた光りの巨人がそう声をかけると、イライザはゆっくりと光りの巨人の方を向いた。

「あなたは?・・・・」

イライザにそう問いかけられた光りの巨人は、イライザの奇跡の復活に感極まったのか、なかなか声を出す事ができない。

「わ、私は・・・銀河連邦警備隊の・・・」

光の巨人が自分の名を告げようとした瞬間、突如大きな地響きが起こった。


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プロローグ1『レオーヌ誕生』・・・⑤衛星L1の最期

 【24//2011】

地殻変動

ゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・

「!?」

尋常ではない地鳴りの音と共に、とてつもない地響きが発生し、光の巨人はその場から動けなくなってしまう。

「し、しまった・・・」

衛星L1に近づいた時に、その異変を察知していたにも関わらず、王妃イライザの救出に懸命になるあまりに、異変の事をすっかり忘れてしまっていた。

衰弱していた光の巨人の身体は、若干の回復を見せてはいたものの、とても本来の能力には及ばない状態で、空を飛ぶことはおろか、その場に立ち上がる事もままならない。

そして王妃イライザも意識は取り戻したものの、とても自分の力で自由に動ける状態ではなかった。

「くっ・・・諦めて・・・なるものか・・・・」

光の巨人は必死に横たわったままのイライザを抱えあげようとするが、あまりの大きな揺れに対応する事が出来ないでいる。

「ワタシの事は・・・構わないで・・・」

「何を言うんだ!・・・私は・・・絶対に・・・君を・・・助ける・・・」

弱々しい声でそう語るイライザに激をとばしながら、光の巨人はイライザの身体を何とか抱えあげたものの、地響きがさらに激しくなり、その場に立つ事さえできない。

そんな光の巨人の頭上には、レオーヌの白い発光体がまるで2人の身を案ずるかのように、円を描きながらくるくると回っていた。

「イライザ・・・・レオーヌ・・・・」

爆発

突如、宇宙空間の静寂を破る爆発音が響き渡り、光が辺り一帯の惑星を照らし出していた。

L1の最期

そしてその中心にあったのは、宇宙の藻屑と化した衛星L1の姿であった。


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プロローグ1『レオーヌ誕生』・・・⑥銀十字軍の母

 【24//2011】

瀕死の重傷

衛星L1の爆発から一体どれほどの時間が経ったのだろう・・・・

光の巨人はイライザの蘇生の為に、ほとんどのエネルギーを使い果たした状態で、衛星L1の爆発に巻込まれてしまった。

瀕死の状態で宇宙空間に放り出されてしまった彼は、気流の流れるままに彷徨い続け、今まさに最期の時を迎えようとしていた。

『すまない・・・イライザ・・・レオーヌ・・・』

光の巨人は混濁する意識の中で、助ける事の出来なかった王妃イライザとレオーヌに心から詫びていた。

もはや自分がまだ生きているのか、既に死んでいるのかさえ分からなくなっていた。

『仕方がない・・・ワタシは彼女達を救えなかったのだから・・・ひょっとすると、また彼女達に逢えるかもしれないな・・・その時には改めて彼女達に謝る事にしよう・・・ワタシの力が足りなかったのだと・・・・・』

光の巨人が心の中でそうつぶやいた瞬間、微かに灯っていた目の光が静かに消えていった。

眩い光

『何だろう・・・このまばゆい光は・・・そうか・・・今ワタシは、天に召されようとしてるのだな・・・・』

光の巨人は、まるでその光の中に吸い込まれていくような感覚に陥っていた。

そこに、苦しさとか辛さといった感覚は全く存在せず、光が自分の傷ついた身体を優しく包み込んでいく。

そうか・・・あとはこのまま、この身をこの光に委ねていればいいのだ・・・・

光の巨人がそんな事を考えていると、突如光の中に、見覚えのあるシルエットが現れた。

マリー

『!!!』

そこに現れたのは、光の国の銀十字軍隊長、マリーであった。

通称マザー・マリー。

その奇跡の力で、命を失った光の戦士達を何人も蘇らせた、光の国の「母」と呼ばれる存在である。

『マザー・マリー。どうしてここに・・・・』

『安心しなさい・・・アナタを助けに来たのです・・・・』

『ワタシを・・・・』

マリーは頷くと、じっと光の巨人の事を見つめながら、その脳内の記憶をたどって行った。

『アナタは、自らの命を顧みず、イライザを助けようとした・・・そんなアナタを、ワタシは同じ光の国の者として、誇りに思います・・・・』

『しかし・・・ワタシは・・・彼女を助けられなかった・・・・』

その言葉を聞いたマリーは、イライザとレオーヌが本当に死んでしまったのかを、自身の特殊能力を駆使して探ろうとしたが、結局2人の生死を突き止めることは出来なかった。

『たとえ助かってなかったとしても、イライザはきっと、アナタに感謝しているはずです。・・・・』

『えっ?・・・まさか・・・イライザが、生きていると・・・・』

『それはワタシにも分かりません・・・ただ、イライザがアナタに感謝している事は、間違いないはずです・・・』

『・・・・』

マリーは語りかけている内に、光の巨人が『生きようとする気力』を失っている事に気づいた。

光の巨人の身体は相当なダメージを負っているものの、マリーの力を持ってすれば蘇生させることは可能である。

とはいえ、かなり深刻な状態である為、当の本人の『気力』がなければ、蘇生出来ない可能性もある。

イライザを助けられなかった事が、そこまで彼の重荷になっているというのか?

『いいですか?私達は神ではないのです。救えない命もあります。アナタは何も、恥じる事はしていません・・・』

『マザー・マリー・・・小さな星ではありますが、ワタシはM80星の王です。王である以上、多くの民に慈愛を注がねばなりません。あの時ワタシは、帰る事が出来なくても構わないと思っていた・・・残された民の事を、考えてはいなかった・・・もし、イライザが助かっていたとしても、ワタシは彼等に顔向けできなかった・・・』

『何を言うのです!!我々の種族の中でアナタの事を、アナタのとった行動を、責める者など誰一人いないはずです。イライザが生きていればアナタと共に喜びを分かち合うでしょう。助かっていなければアナタと共に涙を流すでしょう。そして・・・もしアナタが亡くなったら、どれほど皆が悲しむと思うのですか?!いいですか?アナタは王なのです!アナタの事を必要としている民が沢山いるのです!!』

マリーは激しい口調で、自責の念に駆られている光の巨人を叱咤していた。

しかし光の巨人から返ってきた言葉は、マリーが全く予想だにしない言葉だった。

『マザー・マリー・・・・ワタシが裏切ったのは、民だけではない・・・』

『えっ!?』

『ワタシには・・・妃がいる・・・』

『・・・・・!!!』

マリーはようやく、光の巨人の苦悩を理解した。

(アナタは、そのイライザという娘を・・・・・)

光の巨人の記憶を辿ったマリーには、どうしても腑に落ちないことがあった。

衛星L1で発見されたイライザは、既に生命活動を停止してから相当の月日が経っていた。

おそらく彼女と同じ獅子座L77星人であっても、彼女を蘇生させることは相当困難な事である。

それを異星人である光の巨人が、わずかな時間とはいえイライザを蘇生させた上に、レオーヌという新たな生命体まで誕生させたのである。

仮にマリーがその場にいたとしても、そこまで絶望的なダメージを負った、しかも異星人であるイライザを蘇生させる自信はなかった。

あるいは自分同様の奇跡の力を持つ、光の国の国王や、自分の伴侶である銀河連邦警備隊の大隊長でも、同じ奇跡を起こすことが出来たか疑問である。

それを、いくら光の巨人とはいえ、自分達のような特別な能力を持たないこの男が、その奇跡を起こしたのだ。

(そうだわ・・・彼が光の国の一族としての正義感だけで動いていたのなら、この奇跡は起こっていないはず・・・)

光の巨人はテレパシーで彼女の壮絶な半生を知った事で、最初は「慈愛」の心から、彼女の蘇生を試みていたはずだった。

しかしあまりに哀しい過去を抱えながら、長い間放置されていたにも関わらず、神々しいまでの美しさを保っている彼女の亡骸を見て、彼は心を奪われてしまったのだ。

M80星の王である彼には、昔なじみでもある妃の存在があった。

王妃は銀十字軍でマリーの下で働いているので、マリーも彼女の事は良く知っている。

彼等には子供はいないものの、イライザ位の子供がいても不思議ではない。

マリーはてっきり、彼がイライザに対し「自分の娘」のような感情を抱いたのだと思っていた。

しかし彼は「自分の娘」のようなイライザに、あろう事か特別な感情を抱いていたのだ。

『ワタシは、イライザを助けるのに必死だった・・・・でもそれは決して・・・マザー・マリー、アナタが考えているような崇高な行動ではない・・・妃がいる身でありながら・・・民を統率する王という身でありながらワタシは・・・自分の、娘のような年頃の異星人に・・・・・』

マリーはそんな光の巨人がいたたまれなくなり、念を送る事で彼の口を封じてしまった。


「もう十分です。それ以上話すと身体に障ります・・・あなたは深い傷を負っているのです・・・身体にも、心にも・・・」

マリーは必死に彼の心を救う方法を考えていた。

理由はどうあれ、不可能だと思われたイライザの蘇生を成し遂げた彼の行動は称賛に値するものである。

その事実は決して忘れて欲しくはないが、今はその事が彼を苦しめる原因となっている。

光の巨人は、「イライザを助けられなかった」と悔やんでいたが、もしイライザが生きていて、この先彼の前に現れるようなことがあったら、その時彼は、今以上の苦しみを味わうことになるのかもしれない。

マリーはしばらく瞑想した後、光の巨人に向かって静かに語りかけた。

「アナタは昔から、とても責任感の強い方でしたね。研究者の頃には、自ら志願してあの惑星を訪れ、戦士でもないのにあの星に迫る脅威と立ち向かっていた。警備隊に入隊してからも、アナタは自ら志願してあのM80星の王となった・・・王といえば聞こえはいいですが、小さな田舎の星で雑務に明け暮れる日々・・・」

『・・・・・』

「アナタはいつも陽の当たらない場所で、何の不平も言わずにその責務を全うしてきました。そして王妃に選んだのはアナタの子供の頃からの幼馴染・・・」

『・・・・・』

「きっとアナタの事ですから、そういった人生の選択を後悔したことなど一度もないでしょう・・・・でも、アナタはきっと、周囲の人の事を考えるあまりに、本来ならば羽目を外して遊ぶべき思春期に、思い出を作る事を忘れてしまっていたのです・・・取り戻したかった青春・・・そんなアナタの心の奥に潜む願望が、アナタに“夢”を見させたのです。」

『夢?』

「そうです・・・好きな人の為に、後先を考えずに突っ走る・・・アナタは、とても素敵な“夢”を見たのです・・・」

『ワタシは・・・夢を・・・見ていた・・・・』

意識が戻る

光の巨人の目には、再び生命の証である光が宿り始めていた。

「ワタシは一体・・・」

大きなダメージを負ったその身体は、まだ自由に動かすことが出来ないものの、少しずつではあるが確かに回復の兆しを見せていた。


「ワタシは、パトロールで獅子座L77星のあった地点を飛んでいた・・・そこで衛星L1を発見し・・・生命反応を探知して・・・L77星人の娘を発見した・・・」

光の巨人は爆発のショックで薄れてしまっていた自分の記憶を思い起こしていた。

「ワタシは必死に彼女を助けようとして・・・小さな女の子が現れて・・・気づいたら、彼女達の姿はなく・・・衛星L1が爆発した・・・・」

この時光の巨人は、自分がL77星人の娘を助けようとしていたのが、「夢の中の出来事」だと理解した。

「あれは・・・本当に夢だったのか?・・・イライザ・・・レオーヌ・・・」

光の巨人は、「夢の中で出会った」2人の名前を思い出していた。



プロローグ1『レオーヌ誕生』 -END-

Category: ①『レオーヌ誕生』

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